分からないまま考え続ける力
幼児教育の編集者ノート⑥
分からないまま考え続ける力
前回、「二択にしないという知恵」について書きました。
理論か実践か。
自由かルールか。
個性か集団か。
どちらか一方だけを正解にしないこと。
それは名古屋文化学園が長年大切にしてきた学びの姿勢でもあります。
けれど実際には、それは簡単なことではありません。
なぜなら私たちは、不安になるほど「答え」を求めたくなるからです。
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早く安心したい。
正解を知りたい。
失敗したくない。
そう思うのは自然なことです。
SNSやインターネットを見れば、たくさんの情報が流れてきます。
「こうすれば成功する」
「これが正解」
「答えは一つ」
そんな言葉があふれています。
けれど、人間の成長は本当にそんなに単純なのでしょうか。
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保育の現場では、分からないことだらけです。
人見知りをしていた子が、ある日突然友だちの輪に入ることがあります。
落ち着きがないと心配されていた子が、好きなことに出会った途端、驚くほど集中することもあります。
大人が予想もしなかった形で成長する姿を、私は何度も見てきました。
だから保育者は、簡単に結論を出しません。
「この子はこういう子だ」
と決めつけません。
今はまだ見えていない可能性があることを知っているからです。
以前、この連載で
「保育者は、まだ花が咲いていない時間を信じる仕事なのかもしれません」
と書きました。
その言葉は保育の本質を表しているように思います。
種をまいた翌日に花は咲きません。
芽が出るまでの時間があります。
根を張る時間があります。
外からは何も変わっていないように見える時間があります。
しかし、その見えない時間の中で、確かに成長は続いています。
保育者は、その時間を信じる仕事です。
すぐに結果を求めない。
すぐに評価しない。
すぐに答えを決めない。
目の前のこどもを見守りながら、
「この子はこれからどんな花を咲かせるのだろう」
と考え続けます。
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AIは、たくさんの答えを教えてくれます。
私自身も、AIの力を借りながら調べ物をしたりして文章を書いています。
それはとても便利なことです。
けれど、人間にしかできないこともあります。
それは、まだ答えになっていないものを信じることです。
まだ見えていない可能性を信じることです。
そして、
「分からない」
という状態に耐えながら考え続けることです。
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変化の大きな時代だからこそ、
答えを出す力だけではなく、
問い続ける力も大切になるのかもしれません。
そして保育とは、まさにその力を育む営みなのだと思います。
分からないまま考え続ける力。
それは、こどもたちにとっても、大人にとっても、これからますます大切になる力なのではないでしょうか。

















