人の子の親として「わが子の健やかな成長」を願わない者はありません。特に、幼児期のお子さんをお持ちのご両親にとっては、幼児期が人間形成の最も大切な時期であってみれば当然のことでありましょう。しかも、海外在留のご両親にとっては、海外での生活が子どもにとってどのような影響を及ぼすかを考える時、ことの外その思いを強くもたれることでしょう。
国においては、文部科学省がその解決として世界各地に日本人学校や補習授業校等の開設に努力しているところですが、その施策は小・中学校の義務教育の範疇に留まり、幼児教育にまでは及んでいないのが残念です。
ただ中央教育審議会は、第一次答申の中で「海外勤務者の若年化に伴い、海外に在留する幼児の増加」の現況を「検討する」ことを課題としており、このことを文部科学省にも答申しましたが、現実的に反映されるにはまだ相当の時間がかかりそうです。
しかしながら社会情勢がそうあるにせよ、今の幼児にとっては今が大切であること、待ったなしです。今の子どもたちに、如何に好ましい成長の場を供するかを真剣に考えねばなりません。言語の獲得、生活習慣の会得、学習進度の違いや帰国後の教育の継続など、海外に居住しているがために問題となる要素を克服していかねばなりません。同時に、他の多くの子どもたちには得難い「海外での生活」というプラスの点を、如何にしてより大きな成長の糧とするかを考えていくことも親として幼児教育者としての責務である、と感じています。特に、21世紀に向かって大きな未来性を持って新しい世界の中心であろうと努力しているヨーロッパでの生活体験は極めて大きなプラスであろうと考え、その生活経験を生かしつつ大きく未来を背負う人への成長を心から願い続けています。
本ロンドン文化幼稚園は、これらの視点に立った上で、伝統ある名古屋文化学園の系列の幼稚園として1996年に開設されました。日本での50年以上にわたる幼児教育の歴史を踏まえて、新しい時代を担う大切なお子さまの責任ある教育の協力者として、本園をお選び下さるようお願い申し上げます。
学校法人 名古屋文化学園 理事長 加藤紳一郎
私たち教員一同は、子どもたちと一緒に過ごす幼稚園生活の中で、一人一人の育ちや発達を充分に捉え、それぞれの子どもに応じてきめ細かく指導していけるように努めてまいりたいと思っております。また、家庭的は雰囲気を大切にし、子どもたちが自分らしさを自然に表現できるような、環境作りを心がけると共に、「今日も楽しかったね」と笑顔で降園できる保育を目指しています。個性を重視した自由保育の時間と、協調性を育てていく一斉活動の時間を設け、卒園後、どのような社会環境におかれても適応できるような芽を育てていきたいと思っております。また縦割り保育を重視し、異年齢の子どもたちとの関わりをも大切にしていきます。さらに、季節の行事等で日本の文化を体験し理解することにより、日本人としての誇りを持てるようになってほしいと願っております。
近い将来、国際社会を舞台として羽ばたく子どもたちの成長の過程に、私たちが携わっていけることを嬉しく思うと同時に、その重責を果たしていきたいと考えております。
ロンドン文化幼稚園 園長 安里行美